伊藤まさひろ世事感懐

台風15号、房総半島に爪痕

台風15号によって被害を被った県民の方々に心からお見舞い申し上げます。なぜ、このような甚大な被害が発生し、さらにどうして復旧が遅れに遅れたのかを究明するとともに、この台風被害を教訓として今後、災害に強い県土づくりに一層励みます。

9日早朝、千葉県に上陸した台風15号は最大風速毎秒40㍍の強風で、県土に大きな傷跡を残しました。上陸時の勢力は関東では過去最強クラスで、9月26日現在の県内被害のまとめでは、家屋被害が損壊や浸水で1万8796棟、農林水産業被害額は約367億6200万円で平成23年3月の東日本大震災の被害額を越え過去最高になりました。特に館山市などの県南部の被害が大きく、多くの民家の屋根瓦が吹き飛ばされるなどの被害が発生しました。

強風で電柱が倒れたりして停電も発生しました。最大で県内64万戸の電気が止まる大停電です。電気が復旧するまでの皆さんの難儀はいかばかりであったでしょう。この停電によってぎりぎりの対応を強いられたのが各地の病院です。千葉市若葉区の老人病院では14日にようやく復旧するまでの5日間、自家発電で患者の人工呼吸器などを動かす電気をようやくまかなったそうです。病棟のエアコンに回す電気はなく、折からの残暑に入院患者は皆、ぐったりしていたそうです。

停電で浄水場のポンプが動かず、断水した地域も広範囲に渡りました。今流行のオール電化の家庭では電気がこないため風呂が着火しない、IH調理器や電子レンジが使えずに料理ができない、はてはトイレが流せずに用が足せないなどの不便を被りました。これが冬場でしたら、エアコンやファンヒーターが動かず、凍えて夜を過ごさなければなりません。現代では電気が生活の隅々まで入り込んでいます。いったん、それが止まると、生活が破壊される懸念が現実のものになりました。

森田知事は、国の制度では支援の対象にならない一部損壊の家屋について、修理費用などを支援する考えを示しました。その後、国土交通省や内閣府は、一部損壊の住宅修理費を特例的に国の支援対象にすると発表しました。復興に向けて行政の積極的な支援が望まれます。

東京電力パワーグリッドの当初の想定通り行かずに、復旧が大幅に遅れたのはなぜか、県は速やかな初動対応行ったのかなど、検証すべき課題は山積しています。9月県議会の場で鋭意、議論をしています。